水と油を混ぜ合わせてみると、お互いに溶け合うことなく、油の層が上に溜まります。
これは、水と油は反発し合い、かつ油の方が軽いという性質を持つために起きる現象です。
このお互いに反発し合う水と油が混ぜ合わさることを乳化、それに働きかける物質を乳化剤といい、製菓の分野でよく使用される乳化剤が卵黄です。
通常、水と油は図のように混ざり合うことはありません。
お菓子作りにおいて、このお互いに反発し合う性質を活用したよい例があります。
生地を型に流し込む際、型にバターや油を塗っておくという工程がありますが、こうすることで、生地中の水分がこの油脂と反発し合い、焼きあがった生地が型から剥がれやすくなるというわけです。
さて、お菓子のレシピを探していると、「バターに卵を少しずつ加える」という工程をよく見ますが、これは何故でしょう?
卵黄中にはレシチンという天然の乳化剤が含まれており、このレシチンが、本来反発し合うはずのバター(油脂)と生地中の水分を混ぜ合わせ、生地を滑らかにひとまとまりにさせるというわけです。
レシチンはリン脂質と呼ばれる物質の一種で、このリン脂質は図のように、親油性の部分と親水性の部分を持っているのです。
そこで、バターに卵を加える際ですが、一気に加えるよりも少しづつ加える方が、このリン脂質の水と油を馴染ませる効果がうまく作用します。
また、バターと卵を混ぜ合わせる際、バターと卵は室温に戻しておくのがベストです。
私自身経験がありますが、特にバターが冷たすぎる場合、卵を加えた際に分離してしまいます。
バターと卵を室温に戻しておくことで、レシチンの効果がよく発揮され、うまく混ざり合うというわけです。
【参考URL】
写真は、先日失敗したシュー生地作りに再チャレンジして、思っていたボリュームと堅さに近いものに出来あがり、嬉しかった時のもの。
買い物中、傘のデコレーションパーツを偶然見つけ、これは合うはずと思い、シュークリームに傘をさしてみました♪♪♪
基本のシュークリームの作り方はこちら→
Windbeutel(ヴィントボイテル)~シュークリーム~ - パティシエ見習い in ドイツ